税務情報

 税金に関する情報を、定期的にアップするために、このページを新設いたしました。
日本一、タメになる税金情報を目指して頑張ってまいります!

1.開業費

 第1回は、開業費のお話です。開業費は法人・個人ともに関連のある項目ですが、今は確定申告の時期ということもあり、個人に絞って説明していきます。開業費とは、開業のために支出した広告宣伝費、接待費、旅費交通費、調査費などを言い、具体的には、開業のために支出したノートパソコンや消耗品などもこの範囲に含まれます。この開業費の扱いにつきましては、税務上、任意償却(経費に算入したい時に、経費にすれば良い。)となっています。

 ところで、個人は超過累進税率(所得の多い時ほど高い税率)が適用されます。現在は、5%~40%までと所得によって大きな幅があります。
 開業当初は、なかなか所得が上がらず、税率は10%以下の場合も多いのではない
でしょうか。

 開業費は、任意償却ですので、勿論開業1年目に全額必要経費に算入することも可能です。
しかし、開業1年目が低い税率であるのなら、とりあえず償却を見合わせ、事業が軌道に乗り、所得が上がり、税率が高くなったのを見計らって償却するのも一手です。そちらの方がトータルで見れば節税効果があります。

 また、「資料を整理していたら何年も前の開業時の領収書が出てきた」という様な場合でも、次回の申告で償却が可能なケースも考えられます。

以下のページをご参照ください。

国税庁:償却期間経過後における開業費の任意償却

(2011.2.9 公開)

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせ下さい。 → お問い合わせ

2.災害関連税制

 東北地方太平洋沖地震で被災された多くの皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
個人の資産が災害等で損害を受けた場合、以下の規定の適用を受けることができます。

(1)雑損控除(所得税法72①)

a.内容

 災害、盗難、横領により被害を受けた個人は、一定額を超える部分を、医療費控除等の他の所得控除と同様、所得から差し引く事ができます。差し引けなかった損失の金額は、翌年以降3年間繰越可能です。

b.災害等関連支出について

 後片づけ費用など災害等関連の支出についても、雑損控除の対象となります。
領収書を必ず保管しておきましょう。

c.雑損控除の額

 資産の損失額と上記b.の金額を合計し、そこから一定の足切額を控除した金額が、雑損控除の額になります。

※足切額は、毎年計算されますので、災害の翌年に災害等関連の支出を行った場合は、2回、足切額が控除されてしまいます。そこで、災害等のあった翌年3月15日(災害年の確定申告期限)までに支出したものについては、その災害のあった年分の雑損控除の対象とする事ができる事とされています。

d.対象資産

 生活に通常必要な資産に限られます。別荘や時価30万円を超える貴金属、ヨット、グランドピアノは対象外です。

(2)災害減免法による所得税の軽減免除(災免法2、災免令1)

a.内容

 災害等で、住宅・家財等に被害を受けた場合で、一定の要件に該当する場合には、災害減免法により、所得税の軽減または免除を受ける事ができます。

b.要件

・住宅等の損害金額(保険金等により補てんされる金額を除く)が、その住宅等の価額の10分の5以上であること。
・その被害を受けた年分の納税者の総所得金額等が1,000万円以下であること。
・その災害による損失額について、雑損控除の適用を受けないこと。

c.対象資産

住宅または家財に限られます。

d.その他の注意点

災害減免法の適用を受ける場合には、損害金額の翌年繰越しは認められていません。
雑損控除と災害減免法は、金額をシミュレーションし、有利選択することとなります。

(3)資産の損失

a.事業用資産の資産損失

 個人所有の事業用資産の取り壊しや除却等により生じた損失について一定のものは必要経費の算入が認められます。

b.生活に通常必要でない資産

 生活に通常必要でない資産が、災害により損失を受けた場合には雑損控除の適用を受けられない代わりに、損失を受けた年分又は翌年の譲渡所得の金額から控除することができます。

(4)被災事業用資産の損失額の繰越控除

 被災事業用資産の損失額は、3年間繰り越すことができ、総所得金額等から控除することができます。

(5)災害関連法案の今後について

 今後、災害関連特例法案が制定されるものと思われます。情報につきましては、随時お伝えできればと思います。

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせ下さい。 → お問い合わせ

3.社会保険診療報酬5000万円超えは、医療法人設立のサイン!?

今回は、医師の税金計算のお話です。医師に認められている優遇措置として、概算経費の特例という制度があります。税金計算の原則は、収入金額から収入を得るために使った必要経費を控除して計算します。ところが、社会保険診療報酬が5000万円以下の医師・歯科医師に限っては、社会保険診療報酬にかかる必要経費の額を、実際に使った必要経費に代えて概算経費の額とすることができます。現状、この概算経費がとても優遇されており、結果的にかなりの金額の税金を圧縮出来ているのです。
 もし社会保険診療報酬が、5000万円を超えてしまった場合は、上記の優遇税制が使えなくなりますが、その場合には、以下の2つの手立てが考えられます。
院外処方を実施し、薬価分の診療報酬をなくすことで5000万円以下にする。
②経営する診療所を税制上有利な医療法人化する。

法人化につきましての、細かい手続き・注意点は、一度税金対策とあわせて専門家に相談してみましょう。

(2011.6.29 更新)

ご不明な点は、お気軽にお問い合わせ下さい。 → お問い合わせ