Ⅶ 税理士による仮想通貨(ビットコインなど)の税務解説

 ビットコイン、イーサリアム、リップル、ネムなどの仮想通貨(暗号通貨)を取引した場合の税金について質問をいただくことが多くなりましたので、私なりに整理して、以下に記載しておきたいと思います。ただし、現時点では税制が固まっておらず、正確な処理を保証するものではありません。あくまでも、一税理士の私見として捉えていただければと思います。

 今後、仮想通貨の取り扱いについて、正しい処理が明らかになり次第、徐々にページを更新していきたいと思います。(更新:2017年8月1日)

【1】仮想通貨を法定通貨に戻した場合

 これは、差益部分が課税になるとみてまず間違いないでしょう。個人の場合には、雑所得又は譲渡所得のどちらかだと思いますが、雑所得として申告するのが無難ではないかと思います。

 なお、2017年の7月以降、仮想通貨の譲渡に関して消費税は非課税と決まっております。

【2】仮想通貨間で交換した場合

 ①仮想通貨を一度、法定通貨に戻してから再度、別の仮想通貨を買ったのと同じ取引と考えて、この時点で課税される。 という考え方と

 ②仮想通貨同士を交換した場合は、同価値のものを交換したに過ぎないため、この時点では課税されない。

と2通りの解釈があります。個人的には理論上は①が正しいようにも思えます

が、現在の取引所の取引明細では①の方法に対応できないため、法定通貨に戻した時点でまとめて申告する②の方法も認められるのではないかと思っています。

【3】仮想通貨で買い物をした場合

 ビットコインなどは、円に戻さなくても買い物をすることができます。買い物をした際に、含み益が実現するため、理論上、そこで課税が起きるのかもしれません。ただし、仮想通貨の値動きが激しいので違和感を覚えるだけで、取引自体はただの買い物です。日々の買い物1つ1つを追いかけて課税するのは現実的には不可能ではないでしょうか。この辺りは、どのように法整備されていくのか注目しています。

【4】仮想通貨をマイニングした場合

 例えばビットコインは、採掘(マイニング)という方法で増やすことができます。この場合、簿外資産として処理するのが簡便的です。ただし、そうすると譲渡した際の税金が大きくなってしまいます。マイニングに要した電気代などの経費を合理的に見積もって取得価額とするのが良いでしょう。

【5】仮想通貨がエアドロップされた場合

 仮想通貨は、持っているだけで他の仮想通貨が付与されるようなキャンペーンが実施されることがあります。これをエアドロップと呼んでいます。

 エアドロップされた場合は、雑収入として処理し、取得価額は、その付与された時の時価になるのではないでしょうか。

【6】仮想通貨を期末まで保有していた場合

 個人で保有している場合、含み益に対しては課税されないのは、ほぼ間違いないと思います。法人の場合は、決算時に外貨預金のように時価評価するべきかが焦点となります。ただし、ビットコインなどの仮想通貨は外国通貨の定義には当てはまらないと思われるため、現行法では時価評価は不要で取得価額のまま据え置きで問題ないと思います。

 ※【1】【2】【3】に関して
 以下の通り、国税庁より、課税関係に関する記事が発表されております。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1524.htm

 これにより、所得区分は、基本的には雑所得となることが決定されました。また、仮想通貨で買い物をした場合も、買い物をした時点で課税されると読み取れます。文中には、ビットコインに限定して記載されておりますが、他のアルトコインの場合でも同様の取り扱いになると思われます。

 また、仮想通貨同士の交換については、言及されていない様にも思えますが、現状では、買い物をした時と同様に課税されると考えるのが妥当でしょう。
引き続き、発表を待ちたいと思います。(2017.9.25更新)

 ※※【5】に関して
 以下の通り、国税庁より、課税関係に関する記事が発表されております。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf

 こちらによると、仮想通貨がハードフォークによって分裂し、新たな仮想通貨が付与された場合は取得価額0と明示されており、付与された時点では課税されないことが決まりました。
これをエアドロップに当てはめて解釈すると、個人が保有している仮想通貨についてエアドロップされた場合も同様に、その時点では課税されないものと考えられます。
引き続き、発表を待ちたいと思います。(2017.12.1更新)

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